通信業界をメインとした人材派遣アヴァンセ・アジルのブログです

2007年11月19日月曜日

 専用線、VPN、eVLAN

これから通信業界の様々なテーマについて書いていきたいと思います。対象は通信業界で働いている人、これから働こうと思っている人、さらに通信業界でこれからのキャリアプランを考えたいと思っている人を念頭に置いています。 内容は仕事では何気なく使っている用語なのによく理解できていないことや、ホットな話題について、概念や基本的な事柄を大掴みにすることを狙っています。

最初のテーマは、VPNとeVLANといった通信会社の代表的な法人向けネットワークサービスについてです。これらの法人向けサービスがどのようにして生まれ育ってきたのかを紹介します。 

 電話のネットワークというのは、たくさんの人がみんなで利用するので公衆ネットワークと言われています。ネットワークを構成している交換機と伝送設備、及び、その間を結ぶ回線を構成する通信線路という設備を利用者が共同で使用するわけです。 ですから利用する人が多いと設備はその人たちに占有されてしまって、それ以上の利用者にサービスを提供できなくなってしうこともあります。 それはちょうどビルの中のトイレの数と同じ理屈です。 ビルの中にいる人の数だけのトイレを用意すれば、いつでも誰でもがトイレを使用できる状態を作り出すことができますが、あまりにも無駄が多くなってしまいます。 トイレはビルの中にいる人の数よりずっと少なくていいわけです。 しかしそうするとトイレが全部使用中の状態が発生する可能性もあります。 電話のネットワークの設計も同じ考え方で行われるため、回線が全部使用中のために通話できないという状態が発生する可能性も出てきます。 電話のネットワークではこのような可能性(確率)が1/1000以下になるように設計されています。 これを電話網の品質と呼んでいます。

 電話の利用を個人と企業で比べてみた時、企業、特に企業の本社と支社というような通信料の多い利用者にとっては、次の2つの理由から、電話網という公衆ネットワークの利用は好ましいものではありません。 第1の理由は、大量の通話を通話毎に課金する公衆ネットワークの仕組みではトータルの通信料が膨大になってしまうこと。 第2の理由は、回線が全部使用中に遭遇する確率が1/1000と固定されてしまっていることです。企業によっては回線が全部使用中で通信を待たなければならない確率は1/100ぐらいでもよいので通信にかかるコストを落としたいというところもあるでしょう。また別の企業では通信を待つ確率を1/10000以下の高品質にしたいと考えるところもあるでしょう。 このような要望の違いはコンピュータ間通信になるとより顕著になってきます。 通信会社はこのような企業の要望に対処するため、公衆ネットワーク上のある特定の区間に特定の顧客専用の回線を準備するサービスを始めました。 これを専用サービスといい、特定の2拠点を結ぶ回線を専用線といいます。専用線は企業向け通信サービスの基本として発展していくこととなりました。

 通信が電話の世界からコンピュータ通信の世界に比重を移していくと、専用線もアナログ専用線からディジタル専用線に姿を変えていきます。 お客様の宅内のコンピュータはLANという回線で結ばれて、構内の内線電話とはまったく別の構内ネットワークを構成します。 そして専用線は企業の拠点間のLAN同士を結ぶ役割を果たすようになりました。LANは構内という狭い範囲でのネットワークですが、これを長距離でも使えるようにした広域LANはeVLANとも呼ばれ、LAN間を結ぶネットワークサービスとして使われるようになりました。 さらにインターネットの利用が進み、インターネットの技術が通信に入ってくると、IP-VPNやインターネットVPNというネットワークサービスが企業向けの代表的なサービスとして使われるようになります。 VPN、eVLANという最先端のネットワークサービスも、公衆ネットワークでは企業の要望に応えられないことから作られた専用線の考え方が基礎になっています。